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家庭調査官とは家庭内のもめ事を解決する職務

『あしたの君へ』を読んだよ

柚木裕子さんの『あしたの君へ』を読んで、弁護士や検事とは別に家庭調査官という職業を知りました。家庭調査官の職務は、家庭裁判所で取り扱われる家事事件、少年事件について調査することです。

犯罪を犯した未成年者の処遇を決めるために、家庭や学校環境や生い立ちなどを実際現場に行き聞き取り調査します。また、離婚事件であれば、子の監護に関する処分や、親権権者を決めるために実際関係者に会い調査しています。

刑事でもなく、弁護士でも、検事でもなく、こうした第3の職業を知っている人は、恐らくは少ないと思われます。縁の下の力持ち的な職と感じました。

特に仕事内容は人相手で、事件を起こした方たちです。取り巻く環境の問題に耐え切れず事件に至ったわけですから、環境は相当に複雑であるに違いありません。聞き取り調査は本人を含めて、容易ではないでしょう。新聞などから推測してみれば親に問題があったり、陰湿ないじめなどが背景にあるかもしれません。そう簡単に、環境を理解するなんてできませんよ。

離婚事件にしても、夫婦間も複雑で真相を突き止めるなんて、ことと次第によれば嫌われてしまいそうです。

カンポちゃんの目から見た家庭調査官の仕事

主人公は家庭調査官の見習い、通称カンポちゃんと呼ばれる新人 大地という名です。仕事を題材にした小説にありがちな、仕事が合わないのではという葛藤を描きながら、家庭調査官の仕事の内容も分かる物語に描かれています。

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少年の人生をも左右する任務

家庭調査官に要求される知識は、法律は無論のこと、心理学、社会学にも精通している必要があります。とは言え1人の人間が、3つ全てを把握しているわけではありません。各々3通りの人間が混在して同じ職場で働いているようです。主人公 大地は法学部出身です。頭の中は少年法をはじめとする法律の知識は入っているものの、少年の処分を決めるのは自信がありません。

大地が調査して熟慮の末決めた処分は、職場の先輩にことごとく覆され、真逆の結果を言い渡されます。処分の判定基準は罪の重さだけではなく、少年を更生させるための方法論も重要視されるのです。

決まった住居を持っていない母親が生活保護受給の認定を受け、公営のアパート暮らしができるまでの間、犯罪を犯した少女を保護するために少年院の処分に決めます。大地が決めたように保護観察処分にすると、当面、少女は住居のない暮らしをしなければならないからです。

大地の先輩は大地に告げます。『法に基づき、少女に処分を下すのは簡単だ。現行犯だからな。だが、事件の本質はそこじゃない。どうすれば彼女をその悪質な環境から救い出すことができるかだ。』

家庭調査官は少年の人生をも左右する任務で、責任が大きいのですね。こういうことをしてくれる組織が、日本にはあるのだと感心もしました。

見えない夫婦間の問題も明らかにしなければならない

職業とは言え因果な話です。離婚に応じない夫の調査もしなければなりません。

人当たりが良く、何の問題もなさそうに見える夫は、モラル・ハラスメントの加害者でした。夫の家族、ご近所などに聞き取り調査をしますが、妻が離婚を望む理由がわかりません。妻が通う精神科で、事の真相が明らかになりました。

モラル・ハラスメントは、他人には見えにくい事件です。セクシャル・ハラスメントは性的な嫌がらせ、パワー・ハラスメントは権力を使った嫌がらせ、そしてモラル・ハラスメントは心理的な暴力や班倫理的な権力の乱用の被害を指すそうです。

家庭調査官という第三者が真相を夫に突きつけることで、離婚が成立しました。┐(´д`)┌ヤレヤレやれやれ、家族の問題は人それぞれなのですね。

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