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医療と介護の問題を解決して財政負担が減らせるか?

医療と介護にかかる費用を大切にしなくちゃ

連日のように耳にする高齢化により社会全体に重い石のようにのしかかるのは、年金、医療、介護の3つでしょう。年金はマクロスライド制度の導入や上限を固定したうえでの保険料の引き上げ、受給開始年齢を繰り下げ制度の導入など、あれこれ改革が行われてきました。医療部門も高齢者医療費負担の改正され、来年(2022年)10月より実施されます。

しかしこの医療と介護の問題は、年金のようにすんなり理解できないのは何故でしょう。

医療や介護のお金の回り方を知ってる?

医療や介護の費用は、病院の領収書に書かれている詳細内訳を見ても、その内容がさっぱりイメージできません。私が支払った金額が全額ではなく、税金や保険で大部分を補っています。健康保険証を使えば多くの人は3割負担ですが、生活保護者となれば医療費は無料だそうです。

領収書の金額を3で割り10を掛けて、病気や怪我でかかる相場を知ります。果たして、それが高いのか低いのか判断するすべを持っていません。

医療請求明細

国が負担する医療費と介護費を減らすには、3割負担を上げるか、保険料自体を上げるの2点しか思いつきませんでした。もし、もしですよ。領収書に書かれている内訳のうち無駄があったり、生活保護者の医療費が制限なく使われてしまっていれば、改善することで国が負担する医療費や介護費が削減させることができます。

そもそも社会保障制度は多くの人に恩恵を与えますが、仕組みによって新たな利害関係が生まれたり、自分の財布が痛まないことから制度を無駄に使い続けてしまうこともあります。こんなことを気づけせてくれた、医療と介護の制度で問題点を指摘した書籍に出会いました。

元東京都知事の猪瀬直樹さんが書いた、『日本国不安の研究-「医療・介護産業」のタブーに斬り込む-』です。猪瀬さんはもともとノンフィクション作家でだからでしょうか。多くの解説で数値が用いられていて客観性が高く、わかりやすい内容になっています。猪瀬さん自身色々いわれている面もあるようですが、医療と介護の問題点の切り口は面白いし、周知のことで口に出しにくいことをスバッと書いていました。『よくぞ、書いてくれました。』と共感を覚えた個所もあります。

医療と介護はGDPの1割

現在、新型コロナの感染拡大が止まらない真っただ中、重症化して入院をすれば。多くの医療資源を使いそれが全て国の財政によって賄われています。医療機関にかかった際に窓口で支払う金額だけでなく、国の財政が負担している医療費について、もっと私たちは敏感になるべきです。

当節の掲題にあるように日本のGDPの1割が医療と介護で占めており、この業界で働く医師、看護師、理学療法士、介護福祉士は600万人です。日本を代表する製造業、自動車関連製品の出荷額は55兆円(GPDの1割の金額)で、自動車産業の雇用は550万人と肩を並べる時代になったのです。組織が巨大化すれば、小さな問題でも大きな金額になるので見逃せません。

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書籍の中で取り上げられた気になった身近な問題、中でも国の財政面で関係あるものについてピックアップしてみました。

生活保護者の医療費

生活保護者は国民健康保険の被保険者の資格を失います。医療費は全額生活補助費で賄いますので、生活保護者は無料で治療を受けられます。このため、不必要な通院の繰り返しや薬剤を過剰に受け取ったりして、費用がかさむケースもあるといいます。

調剤薬局で支払う費用の内訳

現在は医者の書いた処方箋を、調剤薬局に持っていき薬を調合してもらい会計も薬局で支払います。それ以前は、病院で薬を調合してもらい、治療費と薬剤費は一緒に会計をしていました。この当時、病院からもらう薬の多さが問題になります。「過剰投与」「薬漬け」といった非難があり、医薬分業制度が作られ今に至ったのです。

薬が多い原因は、病院で支払う薬剤の販売価格が仕入れ価格2倍もあり、医者はぼろ儲けだったためです。現在、その差は8%にまで縮まっていて、当初の目的は達成したかのように見えました。

しかし。。。

調剤薬局の技術料の妥当性

しかし、調剤薬局で薬を購入する際、薬剤費とは別に、薬剤師の技術料が加算されています。その内訳は、基本料、薬剤服薬管理指導料と2つありました。

お薬手帳の仕組みで技術料を自動加算

2016年度の診療報酬改定で、「お薬手帳」の仕組みが導入されました。複数の診療科目を受診したり、複数の病院を受診している人の薬の重複などをチェックができるようになります。「お薬手帳の」導入により、2つの技術料に加えて「薬剤服用歴管理指導料」も自動的につくようになりました。

お薬手帳
ジェネリックで技術料を自動加算

ジェネリック薬剤は、医療費の削減に大きく貢献してくれます。調剤薬局が調剤するジェネリック比率に応じて、後発医薬品調剤体制が加算されます。

意味のない日数による加算増額

私は子供の頃は、紙に包まれた粉薬を処方されることがありました。薬剤師は薬剤を測り、一方ずつ手で包まなければなりません。この手間があるために、処方された日数に応じて調剤技術料は違ってきます。

でも今ではこういった光景を薬局で見ることはなく、必要な数だけのPTPシートを薬袋に入れるだけです。それにもかかわらず、日数が多ければ調剤技術料の加算額が増える規則だけが残っています。

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