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混じりッ気なしで、純粋に花だけを楽しみたい方には
花器やリボンなどの小物抜きで、純粋にお花だけを楽しみたい方には、花束となります。一面に花で敷きつめられた花だけの世界は、アーモンドもお酒も入っていない純粋なチョコレートを、味わうような贅沢感です。
花瓶や花器が家に沢山あって、もうこれ以上花器は必要ない方もいます。そんな、花が大好きなお宅なら、花束が喜ばれるはずです。
先日、日比谷花壇さんの敬老の日のイベントで、専属のシニアデザイナー、来本曜世さんが、花束を作る実演を見てきました。その実演の風景と、花束の紹介をします。
また、手にしただけで20年くらいタイムスリップして若返るんじゃないかと思うくらい、情熱的なスタンディングタイプのブーケを、続いてご紹介します。
デザイナーがつくる花束の実演
花束の幸せ度はこうです。
包みをほどいて、花を生き返らせるための水揚げをした後、花の表情が楽しめます。自らの力で、生き生きさせたという達成感があります。
手持ちの花器や花瓶に合うように、いけるのも楽しいですね。花に合わせて、空き瓶に端切れ布を巻き付けて、即効の花瓶を作ったりすることも思いつくかもしれません。そんなことまでしたくなる幸せ感が、花にはあるんですよね。
そんな花束ですが、包みをほどくのも惜しい、デザイナーズブーケ『ラフィナータ』です。
ラフィナータの花束作りを拝見
花束は、日比谷花壇専属 シニアデザイナーの来本曜世(くるもと てるよ)さんに、作っていただきました。
来本曜世(くるもと てるよ)さんは、ドイツ留学後、独自のデザインを切り開き、帰国後、日比谷花壇に入社。ウェディング、パーティ装花、ハウスウエディング監修などを担当し、抜群のセンスを遺憾なく発揮してきました。現在でも、ポスターなどの広告媒体へ作品提供したり、大手商業施設館内のシーズナル装飾などマルチに活躍をしています。
では、花束の実演の様子をちょっと、ご報告。
使用する花をテーブルの上に用意
真中に花を、左右に花瓶と輪ゴムやはさみが置いて、始まります。
「ブラッドオレンジ」の棘をとる
一番大きなピンクオレンジのバラを、取り出します。ナイフでバラの棘を削るそうです。
『棘ってこんなに簡単に削れるのかな?』と思うほど、まるで牛蒡のささがきを作っているように、ササッーと終えました。
トルコキキヨウの下の方の葉を落とす
藤色のひときわ柔らかいトルコキキヨウ。
下の方の葉を落としました。
カーネーションの下の方の葉を取り除く
トルコキキヨウに負けないくらい、柔らかそうなカーネーション。
やはり、下の方の葉を取り除きます。
ハサミで一気にザックと長さを切ります。茎の長さは、揃えるのですね。
ブラッドオレンジの茎を切る
水やりのタイミングを合わせるためでしょうか?カーネーションの次に、ブラッドオレンジの茎を、切ります。
まずは、ブラッドオレンジから組まれる
花の下ごしらえを終えて、同じ種類同士の花を束にして置かれます。
まずは、ブラッドオレンジから始まります。この大輪のバラが、やはり、主役なのですね。
周囲に花が、どんどん加えられていきます
グリーンが加えられます。
グリーンが入った頃から、花束は時計回りに回されているのに気付きました。1本加える度に、来本曜世さんは必ずバランスをチェックして、私たちの方に向けてくれます。ゴムで縛って さらに確認。
透明なまんまるい花瓶に着地
花瓶に入れられた時に、『ヤレヤレ、一休み』花束が言っているような気がしました。作られた花束の形は、まん丸いドーム型で、どこから見てもふんわりしています。
この時、透明な花瓶に始めて気がついたように歓声が上がり、『欲しい』と口々に言っているのが聞えました。なるほど、重心がとれていて、背が高い花もしっかりと受け止めてくれそうです。
保水ゼリーに入れられて、後は衣装をまとうだけね。
ラッピング
草ぶき色とピンクの紙の2色のラッピングとなります。
内側の用紙でも、丁寧にダーツを整え直します。花束を受け取って感じるふんわり感は、ラッピングのダーツの寄せ方にもよるって気がします。
外側の紙を被せて、ゴールドのリボンを用意します。
完成!ラッピングをすると、また、雰囲気が変ります。
花束なのに生ける必要がないスタンディングタイプのブーケ
もう一つは、花束でありながら、そのまま飾れるタイプのブーケの存在も知りました。通常花束は、円錐形をしているので、横置きが普通です。
また、アレンジメントのように水を含ませたスポンジに、茎が入っている訳ではありませんので、花束を貰ったらその日のうちに、水につけなくちゃいけません。
でも、どうでしょう?多くの人は、経験済みなはずです。
花束を貰う時って、大概イベントでくたくたに疲れている時です。歓迎会、送別会、お稽古ごとの発表会、誕生日、いずれも自分が主役で、気を周囲に使いまくって、心も体も限界の状態。
直ぐに、花束をほどいて、花瓶に生けるなんてことはありません。バケツに、『ばさぁっ』と入れて、あとはバターンキューでベットで寝てしまうはずです。100人中99人は、『バケツにばさぁっ』ですよ。
しかも、100人中何人かは、花を生けるのが苦手な方もいるはず。でも、その円錐形の形を変えて茶筒型にして、花束をそのまま飾れる『スタンディングタイプ』なら、そんな心配は要りません。
スタンディングタイプのブーケ
スタンディングタイプのブーケは、ころんとしていて、クリスマスの時のサンタブーツのようです。テーブルの上に置いても、花が見れるように背が低いのも特徴となります。
和風の『花結び』と、洋風の『オータムスペシャル』、贈る方のお部屋に合わせて選べます。いずれも、カーネーションとガーベラ、バラが入っていますが、和風の場合はスプレーマム(洋風の菊)が、洋風の場合はヒペリカムという木の実になっています。
花結び
着物の帯様なラッピングが、目を引きます。着物の端布で作ったお手玉や、千代紙を思い起こさせてくれませんか?
オータムスペシャル
目が覚めんばかりの色のバラ、ガーベラ、カーネーションの組み合わせです。花結びでもカーベラがありますが、こちらの方が好きだったりします。見ていると、歯車のようであり、時計のようであり、重ねてきた楽しい時間が飾られている気がします。
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