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地震発生時の他に起こりうるリスク
昨年暮れにNHKスペシャル『パラレル東京』を見ました。首都直下型地震が発生した時、内閣府が公表した被害想定に基づき、ドラマ仕立てのドキュメント番組です。
画面に高架の高速道路が滑落し、ビルの倒壊が映されます。車は乗り捨てられ、火事があっちこっちで発生しています。家屋に下敷きになった人の家族が、叫ぶように救援を求めていました。ドラマの舞台はNHKの報道スタジオで、もし仮想の地震であることを知らなければ、本当に地震が起きたのかと勘違いしそうです。
悲劇は地震が起きた日だけではなく、連日新たな困難が続きます。4日間連夜でその状況が、映し出されていきました。テーマは被害想定を知り各自が今から準備することで、被害を少しでも小さくできるのではないかという問いかけています。
通電火災とは
準備できることの一つとして、『通電火災』の対策です。通電火災とは、地震の揺れで起きた停電が、復旧したことによる、電気製品が原因の火災のことです。通電火災は、別名、復旧火災とも呼ばれています。電気製品のスイッチがオンのままだった、破れた電気コード、落下物の下敷きになった白熱灯・電気スタンド・電気ストーブ・オーブントースターが、電気の復旧によって火災が発生することです。
1995年の阪神・淡路大震災では、火災231件のうち85件が電気火災といわれています。東日本大震災では、火災111件のうち、電気火災は約54件です。電気火災のすべてが通電火災というわけではありませんが、やはり見逃せません。ドラマでは耐震性が強いといわれているタワーマンションから火災が起き、地震による被害を抑えられても火災のリスクがあると告げています。
阪神・淡路大震災が起きた1月17日の読売新聞の編集手帳にも、当時の様子が綴られています。
妻が叫んだ。「タンスにはさまれ動かれへん」。夫が駆け寄る。「火が来とるで!」。妻が押し返すように言う。「お父ちゃん、もういいから行って」◆「かんにんやで、かんにんやで」。74歳の夫は近所の人に羽交い締めされながら、燃えさかる家を見つめた――阪神大震災の激震の朝を伝える当時の紙面から引いた。無数の無念の叫びがこだました日からきょう25年を迎えた
例えば家具の下敷きになって、救出を待っている間に自宅が通電火災が発生したら、助かる命も助かりません。我が身を思えば恐ろしい話ですね。
通電火災の対策
通電火災の対策は、大きな地震が起きたら自宅のブレーカーを落とすことです。電気復旧の知らせが届いたら、ひとつひとつの電気製品の破損状態を確認しがら、ブレーカーを戻します。
しかし考えてみてください。大きな地震がきて気が動転している時に、果たしてブレーカーのスイッチを落とせるかどうかです。
経済産業省では、地震発生時にブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止める、『感電ブレーカー』の設置を推奨しています。感電ブレーカーの種類は次の4種類。
- 分電盤タイプ(内蔵型)
費用は5万円~8万円 分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを感知し、ブレーカーを切って電気を遮断。 - 分電盤タイプ(後付け型)
費用は約2万円 分電盤に感震機能を外付けするタイプで、センサーが揺れを感知し、ブレーカーを切って電気を遮断する - コンセントタイプ
費用は約5千円~2万円程度 コンセントに内蔵されたセンサーが揺れを感知し、コンセントから電気を遮断。2種類あり、埋込型とタップ型がある - 簡易タイプ
費用は約2千円~4千円。 ばねの作動や重りの落下などによりブレーカーを切って電気を遮断。
簡易タイプを購入してみました。簡易タイプは、ホームセンター、家電量販店、インターネットでも購入でき、直ぐに対策が可能です。
簡易タイプのブレーカー遮断器
私が購入したブレーカー遮断器は、「スイッチ断ボール3』で日本製です。
遮断の仕組みは、メインブレーカーにキャップを被せ、キャップに繋がれた紐の先に重りがついています。重りが落ちた時、ブレーカーも一緒に落ちます。重りを載せる台は3種類あり、震度5、震度6、震度7用です。
設置方法は、配電盤に両面テープで張り付けるだけで、大掛かりな工事は必要ありません。口コミなどには、実際に電源が落ちないと書かれていたものもありましたが、長い紐で重りの落下時の重力が掛かるので、個人的には心配していません。取り付け後、テストもしましたが、問題なくブレーカーのスイッチは落ちました。
ただ、メインブレーカーのスイッチの形状とキャップは、合わないなどの心配はあるかもしれません。一応、キャップは5種類が揃っています。
以下取り付け方法です。
分電盤を良くふく
両面テープの粘着力は強く、はがす時苦労しますが、45gのおもり玉がのるので粘着力低下にならないように気を配ります。配電盤のほこりは、きちんと雑巾で拭いておきます。
配電盤への設置方法
スイッチ断ボールの大きさは、余裕で手のひらにのるくらいです。配電盤の広さによっては、スペースが足りないこともあります。縦に2つに分断できますので、設定方法を決めておきます。
スイッチ断ボールを水平につける
いきなり、両面テープをはがして配電盤に張り付けてはいけません。養生テープなどで、仮止めして水平の位置を確かめます。
重りを斜めに取り付けてしまうと、正しい震度での動作しません。三脚の付いてる気泡管水平器のような、描かれた円の中に気泡が入るように調節します。配電盤に仮止めして水平器を見るのですが、分電盤の位置が高い場合は、踏み台などがなくて苦労するかもしれません。
重りがのる台の下に調整ネジがあり、ネジ山を移動させることで、台の傾きを微調整ができます。私の場合、購入時の設定を変えなくても水平になっていました。
下の写真、赤枠の中が水平器、黄色枠の中が台の傾きを変えるネジです。
水平を確認したら両面テープで張り付け、一晩放置します。(大切!)
メインスイッチに合うキャップを探す
用意された5種類のキャップから、メインスイッチに合うものを探します。
紐を各部品につなげる
おもり玉には、既に紐が付けられたままになっています。キャップ、本体にひもを通していきますが、ここは取扱説明書の通りに行ってください。紐を通しやすくする、針金もついています。
動作確認
家中の電源が切れても問題がないかどうかを注意して、おもり玉を落として、ブレーカーが遮断することを確認します。万が一、遮断できない場合は、より長い紐も同封されています。
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