透明な冬の夜空と銀河の星を丸ごと頂き
冬の夜空をアーティフィシャルフラワーで再現してしまったジェーン・パッカーのクリスマスコレクションをご紹介します。
ジェーン・パッカーは、横浜よごうやホテルオークラ神戸でイベントを開催している、ぐんぐんと知名度を上げている方です。今回はフラワーデザインが、斬新であるだけでなく、その観察眼の鋭さに驚きました。その理由は、他のどんな季節より美しく神秘的である冬の夜空を、忠実に切りとっていると思えたからです。
私は、作品からインスピレーションを受けて、様々なことを想像させられました。私が感じたところを、そのままお伝えします。
そう、冬の夜空は澄んでいてキレイなのよ
ずっと不思議でした。冬は、夏と違って見える星の数が多いし、第一空気が澄んでいてキレイです。
気温が低いと空気の分子運動が少なくなり、空気中にゴミやチリが舞い上がらないために、冬の空気は澄んでしまいます。
冬の夜空は、空気が綺麗な上に、他の季節と比べるとグッと暗いのです。明るい星しか見えなかった秋の夜空とは打って変わり、明るい星から暗い星まで、ぎっしりと夜空に浮かび上がってきます。まわるい星、十字型の星、五角形、黄色い星、青い星、そばかすのような細かい星の塊と、それはそれは色々です。
今年のジェーン・パッカーのクリスマスコレクションは、澄んだ冬の夜空と、夜空に浮かぶ様々な星を作り上げていました。
コレクションは、以下のとおり。
- ギャラクシーリース(クリスマスリース)
- スターダスト バスケット(ハットボックスに入ったアレンジメント)
- シューティングスターツリー(クリスマスツリー)
- トゥウィンクルスターブーケ(クリスマスブーケ)こちらは詳細記述はありません。
- スターリータウン(ガラスの花器に入れられたアレンジメント)
ギャラクシーリース(クリスマスリース)
『まるで宇宙をとじこめたかのよう』とサブタイトルがついていますが、銀河を現しています。無数の星で作られた円盤状の形、中央は棒状渦巻きを表して四角い形になっています。
細かな星座群をシルバーリーフで現し、夜空の暗い闇を藍色のアジサイのガクで表現しています。
アジサイやもみの木の中にも、よーく見れば星が潜んでいるのではと思わせるような、不思議な輝きを感じました。
星は、よくオーナメントで使われる5角形の星型でなく、細い光線が4方に伸びている星型です。これは、夜空を見上げた時に見る、あの星の輝きに似ています。
またこのリース、光の当たり具合によって輝きが異なります。昼間、夕暮れ、そして夜の電灯の光等によって、違ったリースの表情を楽しめそうです。
スターダスト バスケット(ハットボックスのアレンジメント)
サブタイトルは、『バスケットには、星屑が一杯』。
夜空に輝くキラキラした星も、地球上に落ちしまえば、岩石や鉄の塊となってしまいます。色や形は、含まれる成分によって異なるのです。
使用しているカーネーションは、濁りのあるスモーキー(すすけた)色調で、確かに岩石っぽい。金色と銀色のボールも心なしか、スモーキーな感じで鉱物ぽかったりします。星がくだけて落ちた隕石って、きっとこんな土のような感じなんだろうって思う訳です。
星屑の中に、真っ白いバラを入れたのが凄いですね。だって、こんなに地味な配色を、グッとひきたてて宝石のような星屑にしているからです。白い色は、どんな色でも引き立てることができるけど、明度の明るいオーナメントを使わなかったところが、ジェーンパッカーの非凡さを感じました。
毎年、ハットボックスのアレンジメントは大好きですが、今回はいつもの目が覚めるような艶やかさとは違います。でも、今回もすっごく派手に見えます。
ハットボックスの色もグッとスモーキーにさせていて、この辺の感覚も、なんかゾクゾクしちゃうって思う訳です。
シューティングスターツリー(クリスマスツリー)
サブタイトルは、『流れ星に願いを込めて』。上記のギャラクシーリースのツリー版です。
リースは完全に宇宙にいる気分でしたが、ツリーになると地球上にいる気分になります。飾りつけは同じなのに、不思議ですね。
ところで普通のクリスマスツリーは、葉の緑より明度の高いオーナメントつけて、華やかにしています。赤や黄色、電灯などをつけて眩しいばかりのツリーが、クリスマスツリーの定版なはず。
『いったい、緑以上に暗い飾りをつけるなんて、常識的に考えられない』というのが、凡人の私の思考となります。
藍色のアジサイは、空気が澄んだ暗い冬の夜空を表しています。冬の夜のもみの木って、こんな風にキラキラして見えるのでしょうかね。
シルバーリーフが小さな星の塊を、ブルーや金色のボールだって、それほど明度が高いわけじゃないけど、全体の色のトーンが暗いのでキラキラして見えます。まさしく、金色に焦げ茶色混ぜたようなボールは、夜空に浮かぶ星そのものですね。
ガラスのブルーの花器に植えられ、冬の空気同様に澄んだ透明な世界です。公式サイトでは、恋人用のギフトを臭わせていますので、この透明感は純愛と重ね合わせているのかな?
スターリータウン(ガラスの花器に入ったアレンジメント)
サブタイトルは『星明りに照らされた街』。
コバルトブルーと薄藤色のプリザーブドのバラの花が、めっちゃ素敵です。特にこのコバルトブルーのバラなら、深紅のバラに負けないくらいプロポーズの花として使えそうです。
フラワーデザインの世界は、左右対称のものは珍しいのですが、非対象であることを意識することはほとんどありません。各々の花が混じり合っていて、コントラストがボケているためです。
しかし、このアレンジメントは、ちょっと違います。ボールの領域はボールばかり。藤色のバラの領域、コバルトブルーのバラの領域と、完全に混じり合っていないので、アンシンメトリー(左右非対称)な印象を強く感じます。
星明りに照らされた街は、都会と郊外と田舎がくっきり分かれています。でも、どの地域にも一様に星が降りそそぎ、冬空が広がっているように受け止められます。
花器はツリーと同じガラスのものを使用して、ブルー系で統一していることから、グッと透明感が高くなりました。もう、言葉にできないくらい美しいとしか言いようがありません。
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