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もうこんな贅沢は一生ないかもしれない
ワインの本を読んでも身が入らない理由は、文字にされたことばと味がリンクしないからです。殊に飲み慣れないワインは、どんなに上手な比喩で説明されたとしても、やはりピンときません。
だったら、止めればとなるのですが、やっぱりワインの味を知りたいのが正直なところです。
グルメスタジオFOOVER(フーバー)が企画する、6本のイタリアワインとフランスワインの飲み比べに参加しました。私的にはかなりの贅沢。しかも、飲んでいるそのワインのウンチクが、専門家から聞ける機会なんて、そうそうありません。色々なことに感謝しながら、前回の記事『ワインは知識でのむんじゃない、心と体の声で飲むんだね』に引き続き、今回も拙い私の言葉でつづっていきます。
用意されたワインは、いずれも、超高級ワインというわけではなく、ごく普通の家庭で手にしている価格です。手ごろな価格で、価格以上に楽しみたい欲張りな方なら貴重な情報になるはずです。
イタリアワインの3本。
- ギルラン/シャルドネ
- ラ・ヴァレンティーナ/モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
- ブランカイア/キャンティ・クラシコ
フランスワインの3本。
- シャンソン/ブィレ・クラッセ
- シャトー・ダングレス/グランヴァン・ルージュ
- シャトー・マルテ/レ・オー・ド・マルテ
さらに、ちょっとしたおつ まみも用意されていました。手の込んだ料理でなくても、十分だということを教わります。
イタリアワイン用のおつまみ。
- サラミ三種(フィノッキオ/スピアナータ ピカンテ/ヴェネトソプレッサ
- ツアリーナ イタリア産プロシュート
- ガロファロ モッツァレラ・ディ・ブッファーラ
- オリーブ
フランスワイン用のおつまみ。
- マグレカナール(カモ胸肉のスモーク)
- マンステールチーズ
- カマンベールチーズ
- バゲット
同じ緯度のワインを飲み比べ
講師である伊藤さんが、こんな地図を用意してくれました。イタリアワインのギルラン/シャルドネと、フランスワインのシャンソン/ブィレ・クラッセは、緯度が同じです。ぶどうの品種も、白ワインの女王と呼ばれているシャルドネを使っています。
2つの飲み比べのポイントは、酸味。私が感じたのは、ギルランの方はストレートに酸味を伝えてきます。 シャンソン/ブィレ・クラッセは、掴みどころのないプレイガールと言えます。酸味よりフルーティな味が強く、何度もグラスを口にあてるたびに複雑な気分。プレイガールの手練手管に、はまり込んでしまったかもしれません。
イタリアの最北端の白ワイン
ギルラン/シャルドネのこと。
ギルランの産地は、イタリアの最北端。スイスとオーストリアに挟まれたところです。いずれの国もスキー場で有名で、由って寒いのだと想像できます。寒い地域の澄んだ空気を連想させるキラキラした黄金色のワインは、昼のテラスでのデートにぴったり。男性だったら、このワインで責めるべしと、教えてあげたくなりました。
伊藤さんにお聞きしたところによれば、日光が当たる明るいテラスには、明るいワインを、逆に深夜のディナーなら、ダーク色のワインが合うそうです。
香りは、甘い香りで胸を詰まりそうに重い、この香りからこのストレートな酸味は、想像できませんでした。ツーンとした味は、そのまま脳みそに届き、全身に針金が入ったようにシャッキリさせられます。
寒い地方のブドウはすっぱいと聞いていましたが、このワインで使われているブドウも食べてみたくなります。レモンよりすっぱいのかな?昔の夏ミカンぐらいでしょうか?いずれにしても、死ぬまでに是非食べてみたい!!
おつまみは、モッツァレラ チーズのなめらかでやさしい口当たりのものを選びます。ストレートな刺激とほんわりの味で、感情を中和させました。辛い物を食べた時に、甘いものを食べるという発想と似ています。
フランス ブルゴーニュの白ワイン
シャンソン/ブィレ・クラッセのこと。
最初に、プレイガールのようと書きましたが、心得た女性の香りは強すぎず甘すぎず、程よく酔わせてくれます。フルーティな香りをかすかに感じさせながら、さわやかな香りといったところが、私の表現力の限界です。
酸味はギルランほど強く感じず、口当たりも優しいです。フルーツを食べた余韻に似ていて、幸せな気分にさせてくれます。私にとって、シャンソン/ブィレ・クラッセは、やっぱりプレイガールの印象が離れません。
おつまみのおすすめに、カキや魚介類、生野菜を使ったオードブルとありますが、私はこのワインなら、おつまみなしでもいけます。
がっつりをサラミを食べれる赤ワイン
ラ・ヴァレンティーナ/モンテプルチアーノ・ダブルッツォは、イタリアを足に例えると、ふくらはぎの上あたりにあるアブルッツォ州のワインです。
赤ワインは渋み嫌で、『やっぱり甘い白ワインがいい』という、ドシロウトの私です。そんな私も満足する、白ワインから甘さだけを抜いたような、フルーティなワインが、こちらです。
さらっとした飲み心地、喉を通り過ぎる時に、いろんな言葉が頭に浮かびます。『雑草の中の野いちごのつまみ食い』、『もぎたてのトウモロコシ』、『山の湧水』、『海辺のおにぎり』。。。。。。意味不明と怒られそうだけど、いずれもお腹がすいている時です。自然の中にいてお腹がすいていて、何が口にしたい、そんな気分にさせられる赤ワインです。
お皿にあるサラミや生ハムを一気に食べたのは、このワインのせいのようです。あとで資料を見て、おすすめ料理にミートソースとあり、『やっぱり』とうなずきました。
檜の香りと味がした赤ワイン
檜の香りは知っていますが、檜を口にしたことがありませんが、もし、口にしたらこの味に間違いないと感じました。ミニレッスン中は、伊藤さんが木の香りと説明していましたが、私の頭に浮かんだのは檜です。
檜の文字は、イタリアのキャンティ・クラシコを飲んだ時に最初に感じ、次にフランスのシャトー・ダングレス/グラン・ヴァン・ルージュを飲んだ時に、更に強く檜を感じました。
キャンティ・クラシコを飲んだ時、斜め前の男性が『これが一番好き』といっていましたが、なるほど、野性的で男性が好むワインです。
渡された地図を見ると、キャンティの産地トスカーナ地方とシャトー・ダングレスのラングドックは、ほぼ同じ緯度です。(トスカーナは北緯43.70で、ラングドックは42.80)。いずれの地域も、地中海の影響を受けて温暖な地域といわれています。
ぶどうが育つ環境が似れば、ぶどうの種類が違っていても、味や香りにも共通するものがあってもおかしくないと考えました。
イタリアの檜の香りのワイン
ブランカイア/キャンティ・クラシコのこと。
グラスの中で、透明感のある赤色がキラキラと光ります。赤色のイメージに反して、香りはダンディなのは、意表をついています。もっと濃密なフルーツの香りがするかと思いきや、なんともそっけない。 この甘さがないそっけなさが、きっと男性受けするに違いないと、勝手に考えるわけです。(全て私の勝手な妄想です)。
檜の香りは、『潔癖』の二文字を連想させられます。人にやらせて自分だけ楽をしようとか、都合のよい嘘をついたとか、そんな悪の誘惑にかられた時に、この香りは利くはずです。
いつも聖人君子になれないけど、聖人君子になりたい時に、キャンティを飲もうと決めました。
フランスの檜の香りのワイン
地中海に面したラングドックでつくられるシャトー・ダングレスは、砂地で育つブドウだそうです。その昔、アブラ虫の害でブルゴーニュの南北数百キロぶどう畑が全滅しました。アブラ虫は砂に弱いために砂地で、育つぶどうがラングドックで作られたということです。
先のキャンティで感じた檜のエキスをさらに、濃縮にしてこってりさせた香りに仕上がっています。キャンティが『潔癖』ならば、シャトー・ダングレスは悪と戦う『正義』といった感じでしょうか?
口に含ませれば、香りでイメージするほど渋みがないのも不思議。喉元を過ぎると、フルーティなぶどうのエキスで、食道から頭までギュッと詰め込まれていきます。ギューーウですよ。今回のワインの中で、1番好きになりました。
超ダンディなワインにチーズのこってり感は、中和します。カマンベールチーズのとろっとした口当たりに、ほっと一息。チーズが良く合うワインだと思いました。
卒がない優等生ねと感じたフランスの赤ワイン
シャトー・マルテ/レ・オー・ド・マルテは、フランスの1番大きな生産地ボルドーワインです。伊藤さんにお聞きしたところ、ボルドーというぶどう畑はないそうです。ボルドーという港から、出ていたワインなのです。
赤ワインの渋みはほとんど感じず、すこし甘酸っぱい味がします。甘さを感じた瞬間に、口の中の味覚を奪われます。『え、今、どんな味だったっけ。』と、また一口。再び、甘酸っぱさに酔いしれますが、直ぐに忘れてしまいます。 このスッキリ感は、おつまみは、マグレカナール(カモ胸肉のスモーク)で、柔らかくジューシーな肉とぴったり合いました。
これは、卒がない優等生ワインね。このワインは、気取り屋のいとこが遊びに来た時に買おうと決めました。
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