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終身雇用はなくなる?

100歳まで生きるには戦略が必要なのか!

成長産業は時代と共に変わっていくものです。私が就職した会社の社長の話は、現在もてはやされている業界も、いずれは廃れていくものだと語っていました。新入社員には身も蓋もないと思えますが、就職の当たりはずれは時間が経過してみないとわからないといいたかったのでしょう。

確かに明治維新後に日本経済を支えた繊維工業は重化学工業へ、次に電気機械工業へと流れが変わりました。

現在の注目産業は、IT業界や、電子部品・半導体業界、エンタメ、EC業界といったところでしょうか?産業が衰退すれば関わる企業は業務縮小・リストラをせざるを得ません。雇われの身である我々労働者は、将来性のある企業を探して転職することになります。

就業期間が長ければ長いほど、産業変化の切れ目に遭遇する可能性は高くなります。人生100年が当たり前になれば、1つの会社で終身雇用といったことが不可能な時代になることは言わずと知れたことです。

30年前の管理者達が、定年より少し早めの体力があるうちに転職先を探した方が、再就職に有利なのではと話しているのを耳にしました。この時点では定年時の会社は存続していることが前提になっています。ただ60歳定年で直ぐにリタイヤ生活となるには、経済的に少し不安があった時代です。

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時代の異なる3人登場人物の人生設計を比較・検討

『終身雇用という働き方はなくなるということは承知しているものの、それに対応する方法論が解らない』といった方たちに向けた書籍を見つけました。『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』です。こちら全5巻まであるのですね。今回は1巻を紹介します。(まだ、1巻しか読んでいません(^_^;)

この本は時代の異なる3人の登場人物を設定し、各々の人生設計を比較検討することに重点を置いています。

具体的には。

  • ジャック 1945年生まれ 平均寿命が70歳前後
  • ジミー 1971年生まれ 平均寿命が85歳前後
  • ジェーン 1998年生まれ 平均寿命が100歳か?

この本が発行した年2016年を基準にすると、ジャックは71歳、ジミーは45歳、ジェーンは18歳となります。ジャックは終身雇用が当たり前の時代、ジミーは企業のリストラが珍しくない時代、ジェーンは働き方が多様化する時代になります。

ただ。45歳のジミーの意識は親の世代ジャックの生き方を踏襲し、20世紀の3つのステージを前提に生きてきました。3つのステージとは、教育、仕事、引退です。ジミーは大企業の人員削減の新聞記事を何度も目にし、親世代とは一緒にできない危機感を熟知しているはずなのにです。

例えば幸運にも定年まで同じ企業で務めたとしても、親世代以上に伸びた引退の期間を生活するための資金は足りるでしょうか?ちょっと前に、老後は2千万円の貯蓄が必要といった話題で日本中が盛り上がりましたが、老後が伸びれば貯蓄額もそれなりに必要です。

18歳のジェーンは企業も個人も過去の型にはまった発想を、大きく改めなければならない時代を生きることになります。3つのステージに加わる新たなステージを洗い出し、自分に合った長期計画を立てることが求められる世代となるようです。

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そう、3つのステージそのものを再編成しなければ、長寿は厄介の種になると筆者は警告しているのです。

ただ、このステージの変更は個人の努力や意識の改革だけでできるものではなく、社会全体が変わらなければならない点もあります。社会の構造は急に変えられるものではなく、変えるためには多くの人が100年時代に向けた共通の問題意識をもたなければなりません。

この本を書いた2人の著者の意図は、きっとこの辺にあるに違いありません。

いくつか再編成に必要な項目を、ピックアップしてみます。長寿を厄介の種とするか、恩恵の源にするかの鍵は多くの人が知ることから始まると思われます。

教育の前傾

100年ライフが当たり前となれば、人生の早い時期に一度にまとめて知識を身につける時代は終わると著者は言っています。テクノロジーが目を見張る進歩を遂げると予想される中、初期に身に付けた専門知識や技術だけで、長い勤労人生を生き抜けられないからです。

ひとつの分野の専門技術を取得するだけでは長い勤労人生が続かないのなら、どこかで学び直しをする時期が必要になります。働いている企業の仕事を辞めて、或いは中断して学び直しがやりやすい社会環境とは言えません。これはネックですね。

時代遅れの採用と人材育成

テクノロジーの進化と共に、一人の人間が何度か学び直しの必要性が明らかであるのにかかわらず、多くの企業はいまだに新卒採用を原則としています。転職も珍しくない時代になったとはいえ、前職のスキルが採用の判断基準になっているのが現状です。

転職も多くの実績をもとにしか成功しない現状のイメージ画像

採用の基準には、新卒か継続したスキルがあるかの選択肢しかなく、前職とは別のキャリアでの採用はあり得ないのがほとんどです。

社内教育においても前傾型です。おおよそ入社時に多くの知識と技術を詰め込み、30歳を過ぎると学習の機会は少なくなります。

つまり、テクノロジーの進化に乗れなくなった時の人材育成の体制が、今の採用システムにも社内教育でも整っていないのが現実です。

自律性の欠乏

社会学者のマーガレット・アーチャーによれば、『自律性と内省の能力を持っている人はごく一部に過ぎない。大半の人は受け身で経験することになる。』と言っているそうです。

自律性とは、つまり、言われたことを言われたとおりにやるだけではなく、自分で考え、自分で自分を管理して仕事を進めることをいっています。内省の能力とは、見慣れたものごとを別の角度から見ることで本質を見極める能力を指します。

多くの労働者は、企業の中でどのように振舞うべきか、何を着るべきか、何を望むのかといったことは社会の伝統に従っています。自分の親世代と同じように、自分が属する社会階級や、職にふさわしいと思われる行動をとっているのです。社会的に妥当とされる服装を身につけ、親と同じ願望を抱いているそうです。

でも、こうした過去の生き方を真似ることは、100年時代の人生では役に立ちません。

女性の社会進出の障害

安倍元首相が『一億総活躍社会』を唱えて、女性の社会進出も増えた気がしています。

しかし、現状では家庭内での家事や育児に多くの時間を割いているのは、女性の方です。男女の賃金格差、役職の割合などをみても平等とはいえません。

逆にさまざまな研究で、家庭に関する理由で労働時間を減らした男性は所得が減り、将来のキャリアの機会が狭まる結果が出ているそうです。

夫婦が共に働いていれば、もし夫が学び直しをしたい時に妻が生活を支えることができます。逆もありですが、女性の賃金が少なければ学び直しの機会が得られない、或いは中途半端になる可能性もあります。

100年時代が来るからこそ、女性の社会進出をバックアップさせ、夫婦交互に学び直しができる仕組みに利用するべきです。

今から準備したい人におすすめの書籍です。

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