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資本主義を理解する初めの一歩

この記事の目次

『資本論』は歯が立たないので

白井聡先生の『武器としての資本論』を読みました。

私はマルクスの『資本論』を読んだことも、概要も理解していません。ですので、この『武器としての資本論』の説明が、現在の『資本論』の知識の全てです。

難しくて歯が立たないと考えている私にとって『資本論』は、資本主義を理解する初めの一歩になりました。

テーマは資本主義の問題点

『資本論』は19世紀の半ばカール・マルクスによって書かれましたが、21世紀の今もやはり、名著として論じられています。2世紀経過しても、現在の資本主義に当てはまる部分もあることにビックリですね。

交差点を渡る労働者

マルクスが生きた時代は産業革命後です。産業革命前は手作業による家内工業的な生産体制でしたが、機械化された工場で多くの労働者が働く生産体制に変わりました。莫大な資産を持つ資本家と、何も持たない労働者との関係の始まりです。

その当時は、資本家は生産性を上げるために長時間労働を強いたり、低賃金で働かせていたといいます。労働者は、過酷な環境の中で搾取されていました。こうした状況をマルクスが資本主義の問題点として、まとめたのが『資本論』ということになるようです。

筆者によれば、マルクスは『いずれ資本主義社会は終わり、共産主義へと向かっていく』と亡くなるまで信じていたそうです。マルクスの考えに影響を受けた人たちは、世界各地で共産党を結成していきます。確かに、マルクス=共産党のイメージがありますね。

マルクスは資本主義の末路を、富めるものと貧困層とに完全に2極化して、我慢できなくなった貧困層が革命を起こして終わると唱えました。逆に筆者は、中間階層が現れそんな単純構造ではないと否定しています。

資本論で現在の労働環境も明確に

面白いことに19世紀半ばの労働者搾取が、現代においても形を変えて存在しています。資本論の解釈をとおせば、現代の労働環境も明確になります。

高度成長期が終わった後、多くの企業はどんなに生産力を上げたとしても剰余価値が見込めなくなったことを知ります。大量生産によってほとんどの消費者は、必要とされる商品を所持してしまったからです。

やがて、剰余価値をイノベーションを引き起こすアイディアや発想力で、生み出そうと考え始めます。知性や感性で、消費者を満足させる商品も多く生まれました。ただ、残念なことにこれだけでは、他の多くの労働者は食べていけません。

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多くの企業は剰余価値を得る代わりの方法として、労働力の価値を下げることにしました。業務のアウトソーシング(外注化)、非正規労働者、海外への工場移転、外国人労働者の受け入れなどがそうです。昨今の新聞でよく目にする言葉の数々です。

資本論とは異なる労働環境もあるのでは?

しかし、昨今、労働形態の変化を感じています。工場や土地を所有しているブルジョア階級のみが、企業の頂点にいるとは限らないからです。

インターネットの普及により資本のない個人でも、直接消費者とやり取りができるようになりました。資本家と労働者の関係は、ここにはありません。

また、あのアップルの創業者であるスティーブンジョブズのように、アイディアでイノベーションを起こし、頂点に立った人も現れてきました。

このように組織を持たない個人が、消費者に剰余価値を楽に届けられるようになったのです。これは資本主義が始まる前の時代である、江戸時代と似ています。

江戸時代でも、多くの商品の売買は行われ流通していましたが、資本主義とは呼べないと書かれています。この当時は封建制社会であり身分制の社会で、自由に個人が会社を選び働くということができなかったからです。資本家が雇うべき労働力という商品がなかった、『商品(労働力)による商品の生産』できなかったことが理由だそうです。

江戸時代は身分性があったとしても、自分で田畑などの所有物を持ち、生産手段を他者に頼らないで生活することができました。現代の多くは生産手段がないから、就職活動をし自らの労働力を商品として売りに行っています。

ならば、インターネットを活用したり、アイディアでイノベーションを起こした方たちは、江戸時代の方たちと似ていなくもありませんね。

つまり、『資本論』だけで労働環境を語ることはできない時代も、来つつあるのでは個人的に思うのです。

解決するには資本主義の終焉しかないのか?

今の時代、マルクスの時代と違い「資本主義の問題を解決するためには、資本主義の終焉だ。」という人は誰もいないでしょう。資本主義の終焉後を共産主義になるとするならば、個人の自由が奪われてしまうことになるからです。

自由な社会で育った私たちにとって、これはこれで後戻りです。

であるならば、資本主義の問題から目をそらしてはいけません。企業や政治が行おうとしている事を、労働者への搾取なのか保護なのか判断できるようにしておきたいものです。


現首相がコンセプトとしている「新しい資本主義」の実態もしっかり見届けましょう。

所得の2極化を埋めるには

税制とは本来、所得再配分のためのシステムと綴られています。マルクスが心配した所得の二極化を、埋めることが目的です。

収入の多い人から多くの税を取り、それを収入の少ない人のために使い、社会的な格差を小さくするためです。そのために、多くの国で所得税は、累進課税とされ高収入の人ほど高い税率がかけられているのだそうです。

一方別の章では、社会の支配層、資本家が得するような仕組みになっていて、労働者はそれに気が付いていないと書かれています。資本家が国の仕組みさえも、自分たちの都合の良いようにこっそりと作っているのです。

資本主義社会で生きていくために、『資本論』を理解して本のタイトルのように、武器にできるようになりたいものですね。

武器としての『資本論』のアマゾンのURLはこちら。

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