主食を食べる意味について改めて考えた
白い食べ物は体に悪い、白いご飯も体に悪いという説を知らない人はいません。糖質オフダイエットはブームだし、料理のレシピ本も数多くあります。
お米を全く食べないのは逆に体に負担がかかる
こうした白い食べ物を警戒する風潮が、逆に不健康を招いているとひそかに思っていました。中でも主食であるお米を食べないことが、肥満やアレルギーにつながると書いてある小説を読みました。『杏の花の咲く頃に』です。
ただこの本は、真っ向から医学的な文章で反論していません。小説風にして知り合った老医師に、反論を語らせています。疑問に思いましたが、これがあるべき姿のような気もします。
食事と病気との因果関係を、医師であっても正確には言えません。医師は病気を治すことはできても、食事予防の勉強はしていないからです。(もしかしたら、すっごく失礼なことを書いているかもしれませんけど。)
NHKのガッテンなどで行われている実験のように、同じ献立を食べ続けたグループと、同じ献立で主食だけ違う食事を食べ続けたグループに分け、まったく同じ環境で生活を何年もし続けて病気の発症を検証しなければ、本当のところはわからないじゃないでしょうか?
良く玄米食の方が病気になりにくいといわれていますが、わざわざ白米より価格が高く手間のかかる玄米食を食べる人は、他の食材でも健康にこだわっているはずです。運動や睡眠など生活環境も、気を使っているはずです。なので、玄米食だけが貢献しているとは言いきれません。
断定しないことが、なんとなく正直だし良いような気がします。「白い食べ物は体に悪い」が当たり前のように言われている今、全対決を避けたかったのかもしれません。
この本を読み終えた後、「白い食べ物は体に悪い」という説によって、主食を食べなくなったり、ないがしろにする人が出てきたと考えます。皆が正しいと思っていることを、こんな風な見方もあるよと教えてもらいました。
白いご飯が体に悪いという説
白い食べ物は体に悪いし白米も同じであれば、主食自体をやめてしまった人もいます。
白米は健康に悪いと主張するサイトを覗けば、『白米は血糖値を上げて脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があることが多くの研究から報告されているのです。』とか、「白米をとりすぎると糖尿病のリスクが上昇する」などど説明されています。こんな説明を読めば、誰だって食べたくなるのは当然です。
精製された白米には、ミネラル、ビタミンB、ビタミンE、食物繊維などの成分が除かれています。炭水化物を消化、代謝するにはこうした成分が必要なために、別の用途のためにとってある体の中のミネラルなど(カルシウムとか)を使うのです。体内の栄養バランスを崩し、生活習慣病のリスクを高めてしまうというのが理屈の根底にあります。
白米は悪い、ならば、ミネラル、ビタミンB、ビタミンE、食物繊維を含むおかずをたくさん食べれば良いと考えるのは自然の流れです。栄養豊富なおかずだけを食べ続ければ、栄養過多になり、逆に太ってしまうのに、その点には注意を払いませんし、問題だと指摘する人も知りませんでした。
白いご飯が悪いという意見への反論
『杏の花の咲く頃に』は、白いご飯を嫌煙する人たちに対して、主食をお米でしっかりとろうよと提言しています。筆者である医師の根本さんは、花粉症の患者を診ながらアレルギー疾患と食事の関係性に気が付き、独自の調査を繰り返しました。結果、三つの法則を発見します。
本編では三つの法則を主軸にしておらず、最近目に余る『主食への勘違い』がテーマになっています。数値を出し白米が悪いという説に反論しています。
例えば、白米を食べると糖尿病のリスクが高まるという説に対しては、年々白米の消費量が減っているのに、糖尿病が増えているのは何故かと問うています。白米の消費量と糖尿病発症の多い地域が一致していないのは、何故かと問うています。
全国のコメの消費量の順位(総務省統計局「家計調査」より 2015-2017の平均)は次の通りです。
1位 北海道 84.8キロ
2位 新潟 83.1キロ
3位 静岡 81.2キロ
4位 山形 81.1キロ
5位 佐賀 75.9キロ
全国平均 68.5キロ
下記の全国の糖尿病の死亡率の順位では、消費量の順位が高い北海道や新潟は10位以内に入っていません。先の1位から5位のいずれの県も、下の10位以内に含まれていないのです。(厚生労働省「平成28年人口動態統計・参考表」より)
1位 青森
2位 秋田
3位 福島
4位 富山
5位 鳥取
6位 鹿児島
7位 山梨
8位 徳島
9位 香川
10位 大分
改めてインターネットで検索してみると、なるほど極端な糖質制限は逆に体に負担をかけるといった情報もあります。しかし、糖質制限を推奨しながら、やり過ぎはいけないという警告レベルです。積極的に「白米を食べようよ!」とまでは書いていません。
健康への向き合い方
予防医療からみた食事の情報は溢れんばかりになっています。テレビ、雑誌、書籍、講演会でも話されています。
白米が及ぼす糖尿病へのリスクは、医療関係者の研究の中から言われ始めたとありますが、医療とは別の白米の消費量と糖尿病発症率を地域ごとに比べた方が、説得力のある無関係の結論となります。
小説の中の老医師が、『山を築くことに例えると裾野を広くした方がその上の山を高く出来るという考え方がある、山裾が小さいと山を高くしにくいしすぐ倒れちゃう』と言っています。「大局を見ないで論じても、行き詰まる」といっているように聞こえました。
また、『最近の一般人は健康産業からの情報を信じ込んで、毎月高額な商品を買わされているようじゃが、その商品で百歳まで生きられる保証はどこにあるんじゃ?それよりも健康に暮らしている人、百歳まで生きている人にそのコツを教わるのにお金は要らんじゃろうし。。。』とも言っています。
健康情報を判断する方法について、大事なことを言ってくれています。
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