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長寿社会に必要なライフスタイルとその障壁

LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略

当ブログで『終身雇用はなくなる?』といったタイトルで紹介した書籍の第二巻目、『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』のNo2を読みました。

前回は時代の異なる登場人物が、各々どのような人生設計を送ることになるか比較が主でした。『LIFE SHIFT2』では長寿化が影響を与える社会現象と、その解決策が深堀されていました。

寿命が延びても従来通りの生活が約束されていると考えるのは、『甘い!』ということのようです。新しい人生のあり方を構築しなければならないと、何度も本書の中で繰り返し書かれていました。

ライププランのイメージ図

昨今の雑誌や書籍では高齢化社会を、生き抜くための方法論的なものが増えました。90歳を超えている作家のエッセイが、ベストセラーです。多くの人が関心は長寿を生きるコツにあります。

テレビでは健康番組が幅を利かせ、政府も年金の財源確保のために高齢者や女性の就業の必要性を声高に伝えています。

しかし、掛け声だけでは無理な話。高齢者の就業も女性の就業も、まだまだ多くの課題が残されています。新しい人生のあり方は提言したとしても、直ぐに改善の舵を取れない障壁は山ほどあります。

長寿のライフスタイルに立ちはだかる障壁のうち、書籍の中から私が気になったものをいくつがあげてみます。

テクノロジーの進化が失業の不安の種

生活のための仕事は、急激なテクノロジーの進化によって突然失われてしまうこともあります。

そういえば、失業後の再就職のため行うリスキリングについて、先月の読売新聞で特集が組まれていました。WEBを使って学習できるツールも、幾つか紹介されています。筆者もオンラインの学びの場を、最大限に活用するべきだといっています。

しかし、離職後一定の期間リスキリングに励んだとしても、再就職の成功を助ける社会規範と支援体制が整ってはいないといいます。再就職が叶ったとしても、前職より報酬が減る方が多いのです。

特に再就職時の年齢が高齢であればあるほど、再就職に苦労が大きいことは言うまでもありません。

本書ではテクノロジーが進化しても、職場で必要とされる人材について触れていました。求められる能力を知り、労働の質を個人個人が高める努力をすることは、テクノロジーの進化に打ち勝つ一つの方法だと思います。

コンピュータ関連の失業率

不思議なことにコンピュータ科学の学位取得者の失業率は、他の分野よりも高いと言われています。デジタルスキルが全てではないということでしょう。こうした企業で評価が高いのは、人間性です。

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大きな成果を上げているマネージャーは、他の人たちの力を引き出すことが上手、チーム全体の心身の状態に関心を持っている、コミュニケーション能力にたけ聞き上手であること、明確なビジョンを持っていることなどにあります。どんなにテクノロジーが進化しても、この部分だけはいつの時代も外せないということのようですね。

ATM導入で銀行員が増えた

顧客の預金の入出金は、全て窓口で行っていた時代がありました。現在では窓口で行う人が、ほとんどいません。今思えばATMが町中に設置された頃、銀行員の離職の話を耳にしませんでした。銀行員は逆に増えたというのです。

銀行員は預金の引き出し業務が減ることで、他の付加価値の高い業務に時間が割けるようになりました。複雑なニーズをもった顧客を助けたり、様々な金融商品やサービスを売り込んだりといった業務です。

元々銀行の業務には伸びしろが沢山あったとも考えられますが、銀行内部で顧客のニーズを引き出す工夫がされていたのだと思います。

テクノロジーが人間の仕事を奪い失業に追い込むとは限らず、時には、働く人の生産性が高まり利益率を上げることがあるのですね。

柔軟な働き方ができる企業が少ない

定年まで同じ企業に勤める終身雇用が崩れ始めているのに、新卒採用に重点を置いている企業がほとんどです。新聞で新しい試みをしている企業の紹介もありますが、一握りであることは分かっています。

様々な事情で柔軟な働き方をしたい人もいます。こうした働き方は、勤務時間と業務プロセスを標準化させたい企業の意向に反します。仕事の時期や時間を自己都合で決めたいと望むなら、「給料が少なくなるとか」「フリーランスとして働く」といったデメリットを覚悟しなければなりません。

もし柔軟な働き方を多くの人が望むようになれば、柔軟な働き方を提供しない企業には人が集まらなくなる時代が来るとありました。良い人材を確保するために、企業が柔軟な働き方を提供するようになるのです。

長寿のライフスタイルには、具体的にどういった柔軟性が必要なのでしょうか?少し上げてみます。

高齢者の就業支援

少子高齢化によって、公的年金の財源確保は国を挙げての重要な問題となっています。しかし、現実の企業は高齢者の就業支援に、積極的とは言えない部分があります。高齢者の社員が雇用継続できる企業もありますが、70代や80代まで働くことを支援するまで至っていません。

70代、80代の高齢者の就業支援は無論、高齢者向けに時短短縮した働き方を本書では提案していました。

子育て・介護の時間の確保

核家族化になり祖父母が子育てを手伝うことがなくなり、女性の社会進出により嫁が親の介護をするということも少なくなりました。

性別を問わず働きながら、子育てや介護の時間がとれる柔軟な働き方が必要になります。

年齢制限のない雇用制度

長い職業人生を過ごすためには、個人がスキルを磨いたりアップデートすることが必要です。

個人でできる事としては、好奇心を旺盛にすることだそうです。好奇心の強い人は創造的な解決策に到達しやすく、型にはまった思考や誤った思い込みに陥る可能性が小さくなります。

企業側が従来の新卒重視の採用を変える時は、新しい発想で自分を売り込むことができる人材が増えた時ではと考えてみました。

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