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『少子さとり化ニッポンの新戦略』を読んだよ

日本の特技を世界に発信しようよ

私はバブル世代だから良く知っています。『金は天下の回りもの』とか『宵越しの金は持たない』といった威勢の良い言葉が、普通に聞けた時代でした。使ってしまっても、また稼げばいいやという風潮です。多くの若者は、車に、スポーツクラブに、夜の酒場にと、消費三昧の時期でしたね。

『少子さとり化ニッポンの新戦略』の著者 原田曜平氏によれば、国の経済発展が一段落して成熟ステージに進むと、若者たちは草食化・中性化していくものと書いています。今の若者のせいではなく、社会の流れがそうした若者を作っていくというのです。 地球儀と世界地図

私の今の若者に対する個人的な感想は、さとりや草食というより、賢くなった気がしてなりません。私達が若かったころは、型破りでおバカさんが多かったような気がしているのです。それはさておき。。。

人口が減少している日本はアジアに視点を移すべき

企業はお金を使わなくなった若者を除外して、高齢者に消費のターゲットを移しています。日本の若者が、ないがしろにされている状況に、警告を鳴らしています。 高齢者がいて子供がいない私には、考え付かなかった発想です。『なるほど、こういう考え方をしなければ日本の存続はありえない』と、思わず反省します。

若者が少ない日本は、若者が車を買わなくても、人口の大半を占める高齢者にターゲットを絞って売り込めば、収益に痛手を被りません。政治もどちらかと言えば、高齢者のご機嫌をとる政策を、声高にアピールしていれば、政権はとれそうです。

でも、高齢者はやがて消えていき、人口が減少傾向にある日本国内だけに、これでは先細りします。市場をアジア全体の若者に向けて、発信させていかなければというのが、どうやら、この本のコアとなっているようです。

国外に目を向けざるを経なかった韓国の場合

見本となるべきは、韓国。日本の人口約一億二千万人に対して、韓国は約五千万人で半分以下です。韓国文化産業で利益をあげるには、自国の市場だけでは小さすぎます。

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日本にも韓流ブームが吹き荒れましたが、ドラマもアイドル歌手にしても、その完成度の高さは目を見張りました。この韓流ブームはたまたま、日本人に受けたというより、韓国人の戦略的なものがあったからです。

その裏には、韓国の就職事情の厳しさ。韓国は大学を出ても10人中4人は、就職できない事情があります。日本の東京大学に当たるソウル大学を卒業しても、三分の一は就職できないのです。一流企業とて、安穏としていられない状況です。韓国人は、国を上げて生き残る道を、真剣に考えませんでした。

弱くなったと言われているアメリカは実はアジアでは違う

トランプ大統領が『アメリカファースト』を唱えてから、アメリカが弱くなった危機感が伝わってきました。しかし、アジア圏内に限って見ると、アメリカの影響力は勢力を増してきているそうです。

著者の原田氏は、渋谷のハロウィンのどんちゃん騒ぎ、リムジンパーティ、ランニング中にカラーパウダーを塗られるカラーラン、ラブホテル女子会、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)などは、みなアメリカ発であると指摘します。どれも日本の若者を、大いに沸かせているのです。

あれほどキラキラ輝いているアメリカ経済も陰りを見せ、そのしわ寄せは若者にきています。アジアも日本もアメリカも、若者は経済的な不遇に置かれていることが、共通項となって文化を共有し合うようになりました。

日本は世界の誇れるものをたくさん持っている

最後に日本が世界に誇れるものを、いくつかあげています。日本食が世界遺産に登録されたことは、誰もが知るところとなりました。『人生がときめく片づけの魔法』は、アメリカでもベストセラーになり、著者のこんまりさんは『タイム誌』に、最も影響力のある100人の一人に選出されたそうです。

何故、こうしたことがアジアや世界に影響力を与えるのかも、原田さんの視点で書かれています。日本もまんざらではないと、喜ぶだけではなく、日本の経済のあり方を根本から考え直す手がかりになりそうな、本です。

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